Vol.31「”ラオスのお寺と人々の暮らし”」松島陽子さん

東南アジアの内陸国、ラオスに暮らし10年と少しになります。
その間に父が亡くなり、円生院さんにはそれ以来、大変お世話になっております。
この度は、国民の多くが仏教徒であるラオスにおける、お寺と人々の暮らしについてお伝えしたいと思います。
ラオスは40以上の民族が住む多民族国家ですが、居住地によって大きく3つのグループに分けることができます。
ラオスを北から南まで流れる大河メコンやその支流で水田を営み、早くから仏教を信仰する低地ラオの人々。
それから、山の中腹と高地で焼き畑を営み、精霊信仰を中心とする中地ラオ、高地ラオと呼ばれる人々です。
ラオスにおける仏教信仰の特徴は、お寺を中心とした仏教(上座仏教)と昔ながらの精霊信仰を同時に日々の暮らしに取り入れている点にあると思います。
毎朝托鉢僧に喜捨するとともに、住まいや商売を営む店先にある、精霊(ピー)を祀る小さな祠にお供えをします。
このような精霊の祠は他にも田畑や橋など交通の要所、精霊が宿ると信じられている大木の側などにも見られます。
首都ビエンチャンでは、行政区画はビエンチャン特別市、〇〇郡、△△村となっていますが、△△村には△△寺があり、村の数だけお寺があります。
ラオスの人々にとって様々な機会にお寺に寄進して徳を積むことは大変重要であり、男性は一生に一度出家することで(出家できない女性である)母親に孝行することができると考えられています。
就労形態の変化などから現在では出家休暇をとることが難しくなりましたが、期間を短くして出家する、あるいは親族が亡くなった際に出家をする男性や男子が多くいます。
ラオスの人々の朝は早く、起床後はまず火をおこして主食であるもち米を蒸すことから始まります。
このもち米は毎朝の托鉢のためであり、家族の食事のためです。
村人はパービアンという肩掛けの布の端に竹で編んだもち米を入れる籠を置き、家の近くの決められた場所で膝をついてお坊さんが来られるのを待ち、籠を頭の上に頂いて一人一人の鉢にもち米を一掴みずつ入れます。
お坊さんはお経を唱えて足早に去られ、家族の朝食はそれからです。
おかずになるようなものは村人が持ち回りでお寺にお届けします。
田舎の小さなお寺では、托鉢の列は小さな見習いさんを入れても3人ほどであることもありますが、朝もやの中、黄色い衣を身に着けた裸足のお坊さんや小さなお坊さんの列が足早に歩く姿は、道端に跪く人々の姿とともに、ラオスを訪れる多くの人の胸に残る光景だと思います。

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